脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
原著
アルツハイマー病における血管性危険因子と画像所見の横断的検討
山崎 貴史
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 30 巻 5 号 p. 660-667

詳細
抄録

目的:アルツハイマー病の血圧や脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などの血管性危険因子に注目して,MRI上の白質病変や脳血流画像を解析し,増悪因子に関連した脳循環代謝病態の特徴について検討した.対象と方法:アルツハイマー病患者197例で,血液生化学検査,神経心理学的評価,頭部MRIおよび99mTc ECD SPECTを全例に施行し,統計学的画像解析を行った.結果:MMSEと血圧は緩やかに正相関し,MMSEとBNPには負の相関があった.画像解析結果において,ApoE4をホモ型で所有する群はApoE4を所有しない群と比較して,後部帯状回および楔状回,頭頂・側頭連合野で有意の血流低下を示した.一方,微小血管障害である白質病変と心不全の指標であるBNPは,前部帯状回から前頭葉内側下面の低灌流と関連していた.結論:アルツハイマー病の脳病態には,変性過程に加えて細血管病変や心不全などの血管性要因の影響が存在する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2008 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top