脳卒中
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症例報告
右下肢不全片麻痺症状で搬送後に,頭部CTに引き続いて胸腹部造影CTを行って発見された急性大動脈解離の1例
山田 茂樹佐藤 岳史八木 美雪勝山 和彦山田 知行齊木 雅章
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2009 年 31 巻 3 号 p. 173-178

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抄録
症例は62歳,女性.突然の右下肢の感覚鈍麻と運動障害の症状を自覚し,救急搬送された.胸痛や背部痛はなかったが,症状出現の直前に首が締め付けられるような感覚があったため,急性大動脈解離の可能性も考え,頭部CTに引き続いて胸腹部の造影CTを施行した.頭部CTでは明らかな異常所見はなく,胸腹部造影CTにて,上行大動脈から弓部,下行大動脈,さらに左右の総腸骨動脈にかけて解離を認め,急性大動脈解離と診断し,緊急手術を行って良好な経過が得られた.
本症例のような胸痛を伴わない突然の片麻痺ないし単麻痺で発症した急性大動脈解離の診断は困難であるが,見過ごされた場合の致命率は極めて高い.限られた時間内にrt-PAの適否を判断しなければならない急性期脳卒中の症例に対しても,急性大動脈解離の疑いがあれば,頭部CTに引き続いて積極的に胸腹部造影CTを行った方が良いと考えられた.
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© 2009 日本脳卒中学会
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