脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
くも膜下出血で発症し自然消退した頚髄動静脈瘻の1例
西嶌 春生金森 政之西村 真実堀 恵美子川口 泰洋米澤 慎悟西嶌 美知春
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 31 巻 5 号 p. 332-336

詳細
抄録
くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage : SAH)の原因の一つに稀ながら脊髄動静脈瘻がある.本疾患に対する治療法として血管内治療,外科的治療があるが,保存的治療では再出血の危険が高く予後不良で自然に軽快することは稀である.今回我々はSAHで発症した頚髄動静脈瘻で,自然消退が認められた1例を経験した.症例は67歳女性で突然の頭痛で発症したSAHで入院した.発症25日目に血管撮影で右C1 radiculo-medullary arteryを流入動脈,右C1 radicular veinを流出静脈とし上位頚髄右側に静脈瘤を伴う血管奇形が認められ,脊髄動静脈瘻と診断された.外科的治療,血管内治療を希望せず保存的加療を受けた.厳重な経過観察で発症9カ月目に静脈瘤の消失,発症44カ月目に流入動脈の消失が認められた.頚髄動静脈瘻の自然消失は稀であり,文献的考察を加え報告する.
著者関連情報
© 2009 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top