抄録
酸素吸入法を用いた光トポグラフィー(OT)による脳虚血側診断方法を開発,検討した.
健常人25人,脳虚血例32例(ICA,MCAの狭窄,閉塞)を対象とし,48チャンネルOTにて前頭・側頭領域を覆うようにprobeを配置した.酸素を2分間吸入投与し,それに伴う脳組織中のoxy-hemoglobin濃度の変化をOTで測定した.IMP-SPECTと比較し脳虚血側診断の可能性を検討した.
健常人では酸素投与によりOTでのoxy-hemoglobin濃度はSpO2と同様の台形状に変化した.脳虚血例では正常側と比べ虚血側でoxy-hemoglobin濃度の増加が緩やかでピークが遅れ,虚血側へSpO2変化が伝達され難いことが示唆された.SpO2波形を基準に主成分分析を行ったところ,健常人では重み値に左右差はなく,脳虚血例では虚血側で重み値が低下していた.
酸素吸入法によるOTでの脳虚血側診断法は,脳虚血側や程度が計測でき,臨床的に有用な検査法である.