2010 年 32 巻 1 号 p. 55-59
症候性てんかん(poststroke epilepsy:PSE)により重積状態を呈した陳旧性脳梗塞患者の嚥下機能に着目し,臨床的検討を行った.対象はPSEの発症前には経口摂取が可能であった15名で,脳梗塞の最終発症から痙攣発作までの期間は4~108カ月であった.重積後のPSEでは嚥下障害を15名中10名に認めた.全身状態が不良で,経鼻経管栄養のまま転院となった1名を除き,嚥下障害がみられなかった4名はPSE前と同様の摂食が可能となり,自宅退院となった.しかし,嚥下障害を呈した患者の多くは入院中にPSE前と同様の摂食が困難で転院となった.経口摂取が可能な脳梗塞患者であってもPSEを契機に嚥下障害が明らかとなる場合があり,積極的な嚥下機能の評価と慎重な対応が必要であると思われた.