脳卒中
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総説
血管性認知障害の脳循環代謝病態
山崎 貴史高野 大樹前田 哲也長田 乾
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2010 年 32 巻 6 号 p. 628-633

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抄録

血管性危険因子の観点から血管性認知症(VaD)157例とアルツハイマー病(AD)59例を対象にSPECTを用いて脳循環代謝病態を検討した.VaD 157例中122例(77.7%)で前頭葉に,114例(72.6%)で側頭・頭頂葉の低灌流を認めた.VaDの病型別ではビンスワンガー型の76.8%,多発梗塞性認知症の87.2%で前頭葉の低灌流を認め,前頭葉の低灌流がVaDに特徴的な所見であることが確認された.ADでは全例に血液生化学検査,神経心理学的評価,MRIおよびSPECTを行った.MMSEの成績に対して年齢およびBNP,HOMA-Rは有意な負の相関関係を示した.MRI上で脳血管病変を有するA群は有さないB群と比較して,前頭葉に有意の低灌流を認めた.HOMA-R高値群で両側前頭葉内側面,BNP高値群では両側前頭葉内側面で有意の低灌流を呈した.脳血管病変を有するADでは前頭葉に低灌流を認め,血管性危険因子がADの病態を修飾している可能性が示唆された.

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© 2010 日本脳卒中学会
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