抄録
症例は47歳女性.2010年3月初旬より食思不振のため水分のみ摂取していた.2010年3月中旬の某日,覚醒時に左上下肢と呂律が回りにくいことに気づき,2時間後に当院救急搬送.搬送時,意識晴明,見当識良好であるも,顔面を含む左片麻痺を認めた.頭部CT,頭部MRAに異常なく,頭部MRI拡散強調画像で両側内包後脚と脳梁膨大部に高信号を認めた.血糖35 mg/dlと判明し,ブドウ糖投与を行ったところ,左片麻痺は速やかに消失した.著明な甲状腺機能亢進,TSHレセプター抗体高値を認め,バセドウ病と診断.コルチゾール高値以外にインスリン,血糖調節ホルモンの異常は認めず,インスリン抗体も陰性であったことから,甲状腺機能亢進に高度の飢餓状態が重なったために生じた低血糖性片麻痺と診断した.バセドウ病に伴う低血糖性片麻痺の報告はこれまでになく,急性期脳梗塞の鑑別診断として重要と考えられた.