抄録
【目的・方法】rt-PA静注療法の実施率に地域格差があり,特に低人口密度地域の脳卒中救急医療体制の整備が遅れているとされる.本研究では,著しい低人口密度地域に位置する公立能登総合病院(脳卒中診療専門医数4名)に入院した脳卒中患者368例を対象とし,地域レベルの脳卒中救急医療体制を評価した.脳卒中病型は脳梗塞245例,脳出血92例,くも膜下出血31例であった.受診方法は救急搬送198例,外来受診170例であった.【結果】発症から受診までの時間が3時間以内であった脳卒中患者は外来受診で17%,救急搬送で60%であった.rt-PAは脳梗塞245例中21例(8.5%)に投与され,非低人口密度地域における実施率と比較しても遜色のない結果であった.【結論】低人口密度地域でも脳卒中病院前救護体制や脳卒中専門医による初期診療体制の整備が十分であれば,rt-PA静注療法提供体制の地域格差は解消される.