2012 年 34 巻 3 号 p. 133-139
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血で急性期手術を行った症例で,脳血管攣縮を起こしやすく効果の判定しやすい症例を選び,後ろ向きに調査した.対象群,シロスタゾール(CSZ)とエイコサペンタエン酸(EPA)の投与を加えた群および,更にレベチラセタム(LEV)を加えた群との間で脳血管攣縮発生,脳血管攣縮による脳梗塞発生,予後を調査した.対象群40例,CSZ+EPA群14例,+LEV群19例で,症候性脳血管攣縮の発生は対象群28例(70.0%),CSZ+EPA群は5例(35.7%),+LEV群では7例(36.8%)であった.脳血管攣縮により脳梗塞に至った症例は,対象群で20例(50%),CSZ+EPA群で4例(28.6%),+LEV群で3例(15.8%)であった.対象群よりも両加療群で症候性脳血管攣縮の抑制がみられ,+LEV群では脳血管攣縮による脳梗塞発生の抑制がみられた.