脳卒中
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短報
高齢者の多い一地方病院における,rt-PA静脈投与した脳主幹動脈閉塞連続34症例の臨床転帰に関する検討-慎重投与の意味-
小原 太郎佐藤 光小山 新弥壷井 祥文福田 修遠藤 俊郎
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2012 年 34 巻 4 号 p. 266-268

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抄録

一地方病院において,主幹動脈閉塞の脳梗塞に対するrt-PAの有効性を検討した.【対象・方法】2006年6月~2009年12月に,発症3時間以内にrt-PAを静脈投与した主幹動脈閉塞例の患者背景,転帰を検討した.主幹動脈閉塞を疑う症候は,片麻痺・失語・意識障害・視野障害であった.23例は,MRAにて,閉塞血管が特定された.11例は,閉塞血管が特定されなかった.【結果】発症平均年齢は,77.6歳.慎重投与例は29例(85.3%)であった.3カ月後mRS 0-1は20.6%,mRS 2-3は11.7%,mRS 4-5は44.1%,mRS 6は23.5%であった.【結語】本報告では,NINDS試験,J-ACT試験に比較し3カ月後の転帰は不良であった.ラクナ梗塞を含まず,より高齢で重症例の多いことが要因と推測された.同様のリスクの多い症例に対するrt-PAの転帰は不良であることが示唆された.

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© 2012 日本脳卒中学会
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