【目的】脳卒中急性期における肺炎合併がどのような機序で機能回復に影響を与え予後悪化を招くか後方視的に検討した.【方法】急性期脳卒中患者のうち肺炎発症高リスク47名を対象とし,肺炎合併群17名と非合併群30名で各種データを比較.【結果】急性期入院時の背景因子・重症度は2群で差はなく,転院時では血清アルブミン値,SIAS麻痺側上下肢(上肢遠位除く),非麻痺側,体幹各下位項目,FIM,回復期退院時ではSIAS下肢近位(股),非麻痺側,体幹各下位項目,FIM,FIM効率と嚥下障害改善率で肺炎合併群が有意に劣っていた.【結論】肺炎合併による機能的予後の悪化とは,リハ遅滞や臥床による廃用性萎縮や学習された不使用が生じることにより,急性期での麻痺側運動機能,非麻痺側機能,体幹機能,嚥下機能の低い改善・低下や低栄養が主因となり,結果として回復期での機能回復にまで悪影響を及ぼすことであると考えられた.