2013 年 35 巻 4 号 p. 269-273
要旨:【目的】頭頸部癌患者の頸部放射線治療後に発症する頸動脈狭窄病変(radiation-induced carotid artery disease: RCAD)の本邦における診療実態は不明である.そこでRCADに対する診療実態について検討した.【方法】全国の大学附属病院の耳鼻咽喉科,歯科口腔外科,放射線科医局に対して頭頸部癌に対するRCADに関するアンケート調査を行い,RCADの診療実態について検討した.【結果】213の大学附属病院から返答を得た(回収率57.9%).RCADの認知度については75.9%であった. RCADのために定期的に検査をしている施設は9.4%と少なく,積極的にRCADの予防や脳梗塞の予防を行っている施設はさらに少なかった.【結論】RCADのために定期的に検査を施行している施設は9.4%と少ない.今後,RCADに対して脳卒中医の積極的な診療介入が必要であると考える.