2014 年 36 巻 1 号 p. 51-53
要旨:発症数日前に動悸を自覚し,他院で甲状腺ホルモン値の高値を指摘されていた26 歳女性.左不全片麻痺によりMRI が行われ,右放線冠付近の脳梗塞巣とともに,MRA にて右頸部内頸動脈に著明な狭窄像がみられ,原因病変と考えられた.同時に頻脈や発汗異常がみられBasedow 病と診断し,補液・抗血小板薬と抗甲状腺薬の内服を開始した.その後,甲状腺機能は正常となり,経過観察目的の頭頸部MRA で右頸部内頸動脈狭窄の改善がみられた.Basedow 病が頭蓋内血管に影響したとする報告は散見されるが,本症例のように頸部内頸動脈にも狭窄病変を形成し,一過性脳虚血発作や脳梗塞の発症になり得ることを,脳卒中を扱う臨床医が知っておくことは重要である.