抄録
要旨:症例は高血圧,糖尿病を有する75 歳女性.2013 年1 月某日より発語量が減少した.部屋にこもり,食事,飲水量が減少した.3 日後には会話が噛み合わないため,家族に連れられ救急外来を受診した.神経学的所見では全失語と右不全片麻痺を呈していた.頭部MRI で左中大脳動脈領域に皮質を含む急性期脳梗塞所見を認め,入院となった.受診時より38˚C 台の発熱と項部硬直があり,血液検査で炎症反応の上昇を認めた.抗血栓療法開始前に髄液検査を行い,初圧,細胞数ともに正常で,髄膜炎や脳炎の合併を否定した.頸部CT で軸椎歯突起後方に石灰化像を認め,頸椎偽痛風であるcrowned dens syndrome と診断した.非ステロイド性抗炎症薬内服で頸部痛,炎症所見は軽快した.脳卒中急性期において発熱の原因として感染症のみでなく,偽痛風を鑑別にあげることは必要である.