抄録
要旨:心血管病に基づく血行力学的変化は認知機能に影響を及ぼすが,最終的に血管性認知障害(VCI)に至る病態機序については不明な点が多い.我々は,ラットの総頸動脈閉塞モデルや緩徐閉塞モデル,マウスの総頸動脈狭窄モデル,さらにはヒヒの3 動脈結紮モデルなどを用いてVCI の病態を明らかにするための研究を行ってきた.唯一無二のモデルは存在せず,どのモデル動物にも一長一短があるが,マウスの総頸動脈狭窄モデルは低灌流,白質病変,血液脳関門の破綻,認知機能障害といったVCI に見られる特徴をすべて有し,最良モデルと評価されている.また,ラットの総頸動脈緩徐閉塞モデルは緩徐な血流低下を再現するこれまでの動物モデルにはない利点を有している.さらにヒトへの外挿に最も近い霊長類のモデル動物は将来の医薬品開発に利することが期待されている.VCI の病態解明や治療法開発は,アルツハイマー病をも含めた認知症制圧への近道となろう.