抄録
症例はくも膜下出血に対するコイル塞栓術既往がある76 歳女性.10 日前より生じた右眼瞼下垂で当科を再診したが,頭部MRI では責任病巣となる新鮮虚血巣は認めなかった.脳血管撮影では塞栓術が施行された脳底動脈瘤と前交通動脈瘤部に再発徴候は認めなかったが,新たに右IC-PC分岐部に囊状動脈瘤が確認された.新生したIC-PC 動脈瘤が動眼神経麻痺の責任病巣と考え開頭すると,S 字状に蛇行した床上部内頸動脈が直接動眼神経を圧迫している可能性があり,さらに動眼神経下面には新生した囊状動脈瘤がはまり込むように局在していた.動眼神経直下の動脈瘤をクリップすると床上部内頸動脈が内側移動・直立化傾向となり,サンドイッチ状に圧迫されていた動眼神経の減圧効果が達成された.本例では新生したIC-PC 動脈瘤が動眼神経麻痺の主要因と思われたが,内頸動脈の走行変化はIC-PC 動脈瘤発生時に動眼神経障害が出現しやすい局所環境に寄与していたものと判断された.