脳卒中
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症例報告
神経内視鏡下血腫除去後早期発見により救命しえた重症肺塞栓症の1 例
富永 禎弼氏家 弘寺島 華江加藤 宏一中川 将徳比嘉 隆門山 茂山下 雄司吉玉 隆寺本 明川俣 貴一
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電子付録

2017 年 39 巻 5 号 p. 381-385

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抄録

症例は既往症のない56 歳,女性.意識障害および右片麻痺を認め,当院へ救急搬送後に左被殻出血と診断.血腫拡大傾向のため,症状改善目的で神経内視鏡下血腫除去術を施行した.術後は発語可能となったが,重度右片麻痺は継続し,弾性ストッキンングおよび間欠的空気圧迫装置を使用して血栓症予防をしながらリハビリを継続した.術後7~8 日目に血圧低下と酸素飽和度低下を認め,血漿D-dimer の急激な上昇を認めた.下肢静脈エコーで右膝窩静脈の深部静脈血栓症を認め,胸部造影CT で両側肺動脈に巨大血栓を確認し,重症肺塞栓症の診断に至った.また,経胸壁心エコーで三尖弁に付着する右房内血栓の存在を確認したため,開胸下で血栓除去術を緊急で施行し,救命に至った.肺塞栓症は脳卒中患者において注目すべき合併症であり,発症予防だけでなく,早期診断および迅速な治療開始が重要である.

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© 2017 日本脳卒中学会
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