脳卒中
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シンポジウム 総説
過疎地域における遠隔診療支援システムを用いた脳卒中診療支援の検証
影治 照喜岡 博文兼松 康久里見 淳一郎溝渕 佳史永廣 信治谷 憲治田畑 良小幡 史明林 宏樹坂東 弘康
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2018 年 40 巻 2 号 p. 112-116

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抄録

【目的】徳島県内医療格差是正する目的で,県立海部病院に地域脳神経外科診療部と遠隔診療支援システムが導入された.制度導入の効果について検証する.【方法】診療部開設後に海部病院での急性期脳卒中入院患者295 例(A 群)と,開設前に海部地域で発症した患者103 名(B 群)において後方視的に検討した.【結果】患者宅から脳卒中治療が開始されるまでの平均時間はB 群では100分であったがA 群は30 分と有意に短縮していた.高度医療施設への搬送率はB 群では51%,A 群では19%と有意に減少していた.退院時mRS での0~2 点の占める割合がB 群では35%であったのがA 群では56%に改善していた.遠隔診療支援システム導入後では急性期脳梗塞患者8.6%でrt-PA静注療法を実施した.【結論】過疎地域において直接的な診療支援と,遠隔診療支援システムによる間接的な診療支援は,急性期脳卒中患者の予後の改善に寄与していた.

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© 2018 日本脳卒中学会
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