脳卒中
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40 巻 , 2 号
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原著
  • 舟橋 怜佑, 前島 伸一郎, 岡本 さやか, 布施 郁子, 八木橋 恵, 浅野 直樹, 田中 慎一郎, 堀 博和, 平岡 繁典, 岡崎 英人 ...
    2018 年 40 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/06/13
    ジャーナル フリー

    【目的】リハビリテーション(リハ)目的で入院した右被殻出血患者を対象に,半側空間無視の有無やその検出法に関与する要因について検討した.【対象と方法】対象は回復期リハ病棟に入院した右被殻出血103 名で,発症から評価までの期間は40.5±27.4 日.発症時のCT より血腫型を評価し,血腫量を算出して,半側空間無視がみられたかどうかや,その検出法を診療録より後方視的に調査した.【結果】半側空間無視は103 名中58 名(56.1%)でみられた.血腫量が多く,血腫が内包前後脚または視床に及ぶ広範な場合に半側空間無視は高率にみられた.半側空間無視の検出率は消去現象と注意で最も高く,次いで模写試験,視空間認知の順であった.【結論】回復期リハの時期でも被殻出血の半数以上に半側空間無視を認め,その発現には血腫量や血腫型が関与した.半側空間無視の検出に複数の課題を用いることで,見落としを大きく減らすことができた.

症例報告
  • 福田 雄高, 松永 裕希, 平山 航輔, 吉村 正太, 杣川 知香, 佐藤 慧, 日宇 健, 小野 智憲, 牛島 隆二郎, 高畠 英昭, 戸 ...
    2018 年 40 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/04/05
    ジャーナル フリー

    症例は60 歳女性.無症候性右中大脳動脈狭窄症として他施設で経過観察中,頭痛/意識障害で発症した.CT で右前頭葉脳内血腫を伴うくも膜下出血(SAH)を認め,CTA(computed tomographic angiography)/DSA ではM1 が描出されず,A1 より分岐後M1 欠損部を迂回し網状血管塊を介してM2 へ連続する側副血行がみられた.起始部に破裂瘤を認めコイル塞栓した.網状側副血行路を伴う特発性中大脳動脈閉塞症は,近年発生異常に伴う原始血管系の遺残(twig-like MCA)と考えられている.最近その1 亜型として,A1/A2 からM1 部を迂回し末梢へ至る破格側副血行路内に網状血管が遺残するtype が提示された.本例もこれに相当する構造と思われる.起始部に発生したA1 動脈瘤6 例はすべて5 mm 以下であるが,5 例はSAH で発症している.血行動態的/構造的な脆弱性が示唆されており,本type の瘤は小型でも積極的治療適応に入る可能性がある.

  • 溝口 忠孝, 津本 智幸, 鶴崎 雄一郎, 徳永 聡, 桑城 貴弘, 矢坂 正弘, 岡田 靖
    2018 年 40 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/04/05
    ジャーナル フリー

    特発性内頸動脈解離に対し,頸動脈ステント留置術を行い,良好な転帰を得た1 例を報告し,その原因を考察する.症例は30 歳男性.患者は睡眠時に頸をかしげた状態で寝てしまう習慣があった.起床後入浴中に頸部痛,運動性失語,右半身麻痺を呈した.頭部MRI では左基底核と左前頭葉深部に微小梗塞を認め,MRA では左内頸動脈の偽性閉塞を認めた.諸検査から頸動脈解離に伴う偽性閉塞と診断し,来院時には無症候性であることから内科治療を選択した.しかし,第4 病日目に行った血管撮影でも内頸動脈偽性閉塞所見は全く改善していないため頸動脈ステント留置術を施行し,脳血流の改善を認めた.後遺症なく15 病日目に自宅退院となった.本症例では発症機序としては入眠時の特徴的な姿位による頸部の過伸展が関与していると考えられた.内頸動脈解離の発症機序に関して,十分な病歴,生活習慣の聴取をすることも肝要であると考える.

  • 原 渉, 傳法 倫久, 田島 孝士, 鈴木 理人, 田中 覚, 齋藤 あかね, 伊﨑 祥子, 吉田 典史, 王子 聡, 野村 恭一
    2018 年 40 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/04/05
    ジャーナル フリー

    症例は68 歳の女性.突然の左半身麻痺で発症,当院搬送後に施行した頭部MRI の拡散強調画像で右中大脳動脈領域に急性期脳梗塞所見を認め,頭部MRA では右中大脳動脈水平部近位での閉塞を認めた.既往にFabry 病による心肥大を認めたが,rt-PA 静注療法適正治療指針で定める禁忌に該当する項目はなく,rt-PA 静注療法を施行した.治療後,再開通が得られ症候の改善を認めた.その後,発作性心房細動が検出され,脳梗塞の病型は心原性脳塞栓症と診断した.Fabry 病に合併した心原性脳塞栓症においてrt-PA 静注療法は有効な治療法であると考えられた.

  • 笹生 香菜子, 小久保 安昭, 板垣 寛, 佐藤 慎治, 山田 裕樹, 佐藤 慎哉, 園田 順彦
    2018 年 40 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/04/05
    ジャーナル フリー

    立位により脳虚血発作が誘発されたモヤモヤ病症例において,近赤外分光法(NIRS: near-infrared spectroscopy)により立位時の虚血側の局所脳酸素飽和度(rSO2)の変化を捉えることができた症例を報告する.症例は17 歳女性.モヤモヤ病に対して左血行再建術を施行1 カ月後に一過性左上肢脱力が出現し,右側血行再建を行うために入院となった.NIRS を使用し,臥位から15° ずつ頭位挙上し,立位まで体位変換し,その間のrSO2 を測定した.その結果,rSO2 は30° 以上の頭位挙上で左右差が明らかとなり,虚血側では立位時に最大11%まで低下を認めた.また,術前に認めた頭部挙上に伴う虚血側でのrSO2 の低下は血行再建後消失しており,15O-PET によるCBF やOEF も術後虚血側で改善していた.頭部挙上に伴う虚血側のrSO2 低下は脳循環スクリーニングあるいは急性期虚血性脳血管障害症例における安静度を考慮するうえで有用ある可能性が示唆された.

第41 回日本脳卒中学会講演
シンポジウム 総説
  • 緒方 利安
    2018 年 40 巻 2 号 p. 96-99
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/02/07
    ジャーナル フリー

    我々は当院脳神経センターに入院した重度の脳局所症候を欠き,50%以上の内頸動脈または中大脳動脈狭窄病変を有する176 例の認知機能を評価した.対象患者において認知機能評価,およびMRI による大脳白質病変や微小出血の有無,脳血流シンチによる安静時脳血流量も評価した.内頸動脈狭窄症の中で,頸動脈内膜剝離術(CEA)の適応患者は術前,および1 年後の認知機能を評価し,内科的に加療された患者の1 年後のそれと比較した.結果は認知機能低下群が136 例で,全体の77.3%に及んだ.認知機能低下と有意に関連があった因子は高齢,飲酒,患側の脳血流量,傍側脳室白質病変であった.1 年後の認知機能についての検討では,CEA を施行した群で有意に改善した一方,内科治療を行われた群は改善しなかった.脳主幹動脈病変を有する症例の認知機能障害の特徴および影響を与える因子の詳細を明らかにできたと考えている.

  • 上野 祐司, 卜部 貴夫, 田中 亮太, 服部 信孝
    2018 年 40 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/02/16
    ジャーナル フリー

    潜因性脳梗塞の頻度は稀ではなく,その病態は多岐にわたる.潜因性脳梗塞はcryptogenic stroke として提言され,心エコー検査を主体とした塞栓源診断で卵円孔開存や弓部大動脈プラークの発症機序への関与が明らかにされてきた.特に,経食道心エコー(transthoracic echocardiography: TEE)は半侵襲的な検査であるが,これらの塞栓源の検出には有用である.近年では,潜因性脳梗塞に対してembolic stroke of undetermined source(ESUS)という新たな概念が提唱された.ESUS は診断の標準化という立場から,半侵襲的な検査であるTEE による塞栓源診断は必須ではない.しかし,逆説的にいえば,ESUS はTEE で診断される種々の塞栓源疾患が含まれる.我々は,ESUS の診断基準を満たしTEE を実施した症例を対象に,脳梗塞再発や心血管イベント発症の有無を後方視的に調査し,塞栓源疾患や臨床的特徴と予後の関連性を検討した.

  • 今泉 俊雄, 稲村 茂
    2018 年 40 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/02/16
    ジャーナル フリー

    Cerebral microbleeds (MBs)は,脳卒中の再発マーカーとして重要である.しかし,MBs と脳卒中タイプ別の再発については明らかではない.今回ラクナ梗塞例,深部脳出血例の再発につき,deep MBs がどのように関連するか検討した.その結果ラクナ梗塞例のMBs 保有例は,全脳卒中タイプ,深部脳出血,ラクナ梗塞において,それぞれ非保有例に比較して有意に再発率が高かったが,深部脳出血例ではdeep MBs 保有の有無にて脳卒中タイプ別の再発に差はなかった.MBs と脳卒中再発の関連については,既往の脳卒中タイプと再発としてのタイプのそれぞれに違いがあることがわかった.MBs の関連因子なども含め,MBs と脳卒中の再発について述べる.

  • 丸島 愛樹, 河本 浩明, 上野 友之, 松下 明, 五月女 康作, 門根 秀樹, 渡邉 大貴, 羽田 康司, 遠藤 歩, 清水 如代, 晝 ...
    2018 年 40 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/04/05
    ジャーナル フリー

    脳卒中急性期において,ロボットスーツHAL が効果的な病態を把握するために,HAL 介入試験のプロトコルの実行可能性と安全性を評価するとともに,HAL による介入効果を検証した.【方法】脳卒中急性期患者36 例に対し,HAL の段階的治療プログラムの実行可能性と安全性,および身体機能,日常生活動作の評価を行った.【結果】HAL 介入前後において,歩行速度,12 段階片麻痺機能評価,NIHSS,Barthel index,motor FIM の有意な改善を認めた.それらは,HAL による歩行動作介入の開始と,25 m/min 以上の歩行速度の獲得に有意に関係していた.【考察と結語】脳卒中急性期において,HAL による段階的治療プログラムを安全に実行することができた.身体機能と日常生活動作の評価は,HAL による立位・歩行介入の効果を評価するうえで,有用であった.

  • 影治 照喜, 岡 博文, 兼松 康久, 里見 淳一郎, 溝渕 佳史, 永廣 信治, 谷 憲治, 田畑 良, 小幡 史明, 林 宏樹, 坂東 ...
    2018 年 40 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/23
    [早期公開] 公開日: 2017/06/21
    ジャーナル フリー

    【目的】徳島県内医療格差是正する目的で,県立海部病院に地域脳神経外科診療部と遠隔診療支援システムが導入された.制度導入の効果について検証する.【方法】診療部開設後に海部病院での急性期脳卒中入院患者295 例(A 群)と,開設前に海部地域で発症した患者103 名(B 群)において後方視的に検討した.【結果】患者宅から脳卒中治療が開始されるまでの平均時間はB 群では100分であったがA 群は30 分と有意に短縮していた.高度医療施設への搬送率はB 群では51%,A 群では19%と有意に減少していた.退院時mRS での0~2 点の占める割合がB 群では35%であったのがA 群では56%に改善していた.遠隔診療支援システム導入後では急性期脳梗塞患者8.6%でrt-PA静注療法を実施した.【結論】過疎地域において直接的な診療支援と,遠隔診療支援システムによる間接的な診療支援は,急性期脳卒中患者の予後の改善に寄与していた.

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