2018 年 40 巻 4 号 p. 270-274
症例は79 歳女性.3 時間前からの左片麻痺を主訴に救急搬送された.MRI で右中大脳動脈近位部閉塞に伴う梗塞像を認め,rt-PA 静脈内投与とPenumbra システムによる血栓回収術で再開通を得た.翌日のMRI で梗塞巣は放線冠と被殻に限局し,術後10 日にmodified Rankin Scale 1 で自宅へ退院したが,退院2 カ月後に意欲低下を発症した.T2 強調画像,FLAIR 画像で右中大脳動脈灌流領域の白質に新規高信号域を認めた.病変部のmagnetic resonance spectroscopy でcholine/creatine 比の上昇,N-acetylaspartate/creatine 比の低下を認め,神経細胞の破壊,脱落が示唆された.急性期血栓回収術による再開通を得た場合でも,遅発性に白質病変が生じることがあるため,注意深い経過観察が必要と考えられた.