脳卒中
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症例報告
経過中に脳梗塞とたこつぼ型心筋症を併発した3 症例
谷 裕基中嶋 秀人垣内 謙佑元木 三記子吉本 幸世太田 真奥村 嘉也北岡 治子木村 文治荒若 繁樹
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2018 年 40 巻 5 号 p. 382-387

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抄録

経過中に脳梗塞とたこつぼ型心筋症を併発した3 症例を経験した.症例1 は85 歳女性.心原性脳塞栓症の発症翌日にたこつぼ型心筋症を発症し,ニコランジル投与により軽快.症例2 は67歳女性.精神的ストレスからたこつぼ型心筋症を発症し,2 日後に脳塞栓症を発症.たこつぼ型心筋症に伴う心室内血栓を原因と考えられ保存的治療で軽快.たこつぼ型心筋症も経過観察で軽快した.症例3 は68 歳男性.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の経過中に脳梗塞とたこつぼ型心筋症をほぼ同時に発症し,ニコランジルとカルペリチド投与により軽快.症例1 と3 は自覚症状がなく,心電図とバイタルサインの変化により発見された.脳梗塞とたこつぼ型心筋症の因果関係は多様である.脳梗塞に心筋症を併発する場合,症状や所見が軽微なこともあるため,見逃される可能性がある.たこつぼ型心筋症の合併は転帰に影響し得るため,それを念頭に置いた脳梗塞診療が必要である.

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© 2018 日本脳卒中学会
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