2019 年 41 巻 3 号 p. 153-158
要旨:非心原性脳梗塞患者における左室拡張障害の頻度および中等度以上の拡張障害の関連因子を検討した.対象は2015 年9 月~2017 年6 月に入院した発症7 日以内の非心原性脳梗塞患者100 例で,経胸壁心臓超音波検査で拡張機能を評価し,正常,弛緩障害(軽度),偽正常化(中等度),拘束型(高度)に分類した.左室拡張障害は70 例に認め,中等度以上は10 例であった.BNP 値は,中等度以上の左室拡張障害を有する群で有意に高かった(中央値26.9 vs. 96.8 pg/ml,p=0.0009).多変量解析の結果,BNP>80 pg/ml が,中等度以上の左室拡張障害の独立した関連因子であった(OR 8.12,95% CI 1.162–56.67,p=0.035).非心原性脳梗塞患者は左室拡張障害を高率に合併し,BNP>80 pg/mlは中等度以上の拡張障害の存在を考慮する必要がある.