脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
症例報告
脳静脈血栓症を合併した劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)の1例
田中 愛実三間 洋平安部 裕子礒田 健太郎井村 隼大原 真理子上田 直子池田 充庄田 武司森川 雅史大坪 亮一
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 42 巻 5 号 p. 429-434

詳細
抄録

要旨:症例は21 歳女性.入院1 週間前より発熱,頭痛,腹痛,血便がみられるようになった.入院当日に左不全片麻痺を来し,来院した.入院時検査で血小板減少,凝固線溶系の異常を認め,画像検査で多発性出血性脳梗塞と脳静脈,上腸間膜静脈,右大腿静脈の血栓症を認めた.劇症型抗リン脂質抗体症候群を疑い,ステロイドパルス療法とヘパリンによる抗凝固療法を開始した.入院3日目に右前頭葉および側頭葉の血腫増大を認めたため緊急開頭術を行った.抗リン脂質抗体陽性が判明し,劇症型抗リン脂質抗体症候群と診断した.血漿交換,リツキシマブ,シクロホスファミド静注療法を追加した.その後疾患活動性は低下し,プレドニゾロンとワルファリンによる維持療法に移行し再燃なく経過した.1 週間以内に複数臓器に静脈血栓症を来し,急激に重篤化する症例では,劇症型抗リン脂質抗体症候群を念頭に置き,迅速な精査加療を行う必要がある.

著者関連情報
© 2019 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top