脳卒中
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症例報告
奇異性脳塞栓症を契機に診断した肺動脈性肺高血圧症の1例
蒲生 直希外山 祐一郎松本 倫明本間 敏美舩越 匠種本 真将松下 隆司
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2021 年 43 巻 4 号 p. 327-331

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抄録

要旨:症例は34歳女性.子宮内膜症に対してノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合錠を内服していた.起立直後に回転性めまいと嘔吐が出現し,当院へ救急搬送された.神経学的には左方視時の注視方向性眼振のみを認めた.頭部MRIでは左側頭葉,左小脳半球に散在する急性期脳梗塞を認め,頭頸部MRAでは主幹動脈に明らかな狭窄や閉塞は認めなかった.当科に入院し原因を検索したところ,経胸壁心エコーで肺高血圧症を疑う所見を,コントラスト経食道心エコーで卵円孔開存を介した右左シャントを認めた.深部静脈血栓は検出されなかった.当院循環器内科での精査により肺動脈性肺高血圧症と診断された.卵円孔開存症と肺動脈性肺高血圧症の合併により奇異性脳塞栓症を引き起こしたと考えられ,脳梗塞再発予防としてリバーロキサバンを開始した.卵円孔開存症を伴う奇異性脳塞栓症では,右左シャントの要因として肺高血圧症の合併も考慮する必要がある.

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© 2020 日本脳卒中学会
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