脳卒中
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総説
  • 小笠原 邦昭, 久保 慶高
    原稿種別: 総説
    2021 年 43 巻 4 号 p. 299-305
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/04/06
    ジャーナル フリー

    要旨:頸動脈内膜剝離術(CEA)前後の認知機能変化に関し,臨床的に意味のある定義づけをするために,主観的評価および神経心理検査データから,各症例を「術後機能改善」および「術後機能悪化」と定義した.その結果,「術後改善」は11%,「術後悪化」は11%,「術後不変」は78%であった.SPECT,PET,MRI等を用いた検討から,「CEAによる脳血流改善→脳代謝改善→大脳皮質神経受容体機能・大脳白質微細構造の改善→認知機能改善」という流れがあることがわかった.術前に存在する大脳半球白質病変の程度が認知機能改善の律速になっていた.また,同検討から,「CEA後過灌流→脳代謝低下・大脳皮質神経受容体機能低下・大脳白質微細構造障害→認知機能悪化」という流れがあることがわかった.「CEA後過灌流が脳血液関門を破壊し,microbleeds をはじめとした神経毒が流出し,神経組織を障害し,認知機能低下を来す」ことが示唆された.

原著
  • 竹下 康平, 髙尾 洋之, 坂井 健一郎, 井口 保之, 村山 雄一
    原稿種別: 原著
    2021 年 43 巻 4 号 p. 306-312
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/01/15
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景および目的】医療財政は逼迫しており,医療を維持するためには,医学的妥当性のほか,効率性,経済合理性も重要である.今回,日本全国の施設を反映した急性期脳梗塞患者の入院期間に関連する因子について,rt-PA投与患者を対象に探索的に検討を行った.【方法】厚生労働省から入手したNDBサンプリングデータセットを用い,rt-PA投与患者を平均入院期間以上の退院遅延群および未満の早期退院群に分け,入院期間に関連する因子について検討を行った.【結果】退院遅延群に関連する因子として,入院時 JCS 2 桁,経腸栄養の実施,感染症および下剤/浣腸剤の処方が確認された.入院後に介入可能性のある感染症では,有無により3.8日間の入院期間延長が推定された.【結論】急性期脳卒中の入院期間短縮における感染症対策の重要性が全国のデータで改めて明らかになった.患者の利益と医療費の適正配分の観点で,感染症予防対策の推進が必要である.

  • 中島 一夫, 仲 元司, 西山 修, 高濱 充貴, 西森 栄太
    原稿種別: 原著
    2021 年 43 巻 4 号 p. 313-319
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的および方法】腎機能障害(推定糸球体濾過量 <60 ml/min/1.73 m2)を有する非弁膜症性心房細動(NVAF)患者中,ワルファリン(Wa)投与166例(79±8歳)および直接阻害型経口抗凝固薬(DOAC)投与196例(80±10 歳)の有害臨床イベント発症率を後ろ向きに検討した.【結果】WaおよびDOAC投与群の虚血性脳卒中または全身性塞栓症率は各々 3.41,1.75/100人年,大出血発症率は各々 3.70,1.09/100人年,全死亡発症率は各々 7.39,5.02/100人年であった.多変量解析にて,Wa群と比較してDOAC群の虚血性脳卒中/全身性塞栓症,大出血発症率は有意に低率(ともに P<0.05),全死亡発症率に有意差はなかった.【結論】実臨床下での腎機能障害合併NVAF患者において,DOAC投与群の有害臨床イベント発症は,Wa群のそれより低率ないし同等であった.

  • 青木 淳哉, 鈴木 健太郎, 金丸 拓也, 片野 雄大, 沓名 章仁, 西 佑治, 竹子 優歩, 中上 徹, 沼尾 紳一郎, 木村 龍太郎, ...
    2021 年 43 巻 4 号 p. 320-326
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    要旨:【背景と目的】動脈硬化性内頸動脈閉塞例では,閉塞部をガイドワイヤーで通過(lesion cross)することが求められる.頸動脈エコーは lesion cross 部位を描出できる可能性がある.【方法】2015年4月から2019年5月までの血栓回収療法例中,内頸動脈起始部の動脈硬化性閉塞例を対象とした.再開通療法後に,術前に施行した頸動脈エコー所見を再評価した.【結果】8例のデータを解析でき,6例で lesion cross 部位を頸動脈エコーで描出できていた.Lesion cross 部位は,周囲の高輝度から等輝度のプラークと区別でき,低輝度を呈する血管腔として捉えられた.Color Doppler 法では3例で血流が入り込む像を描出していた.5例の lesion cross 部位は,内頸動脈の前面に位置していた.【結論】頸動脈エコーは,動脈硬化性内頸動脈の急性閉塞部の同定に有用な可能性がある.

症例報告
  • 蒲生 直希, 外山 祐一郎, 松本 倫明, 本間 敏美, 舩越 匠, 種本 真将, 松下 隆司
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 327-331
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2020/12/15
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は34歳女性.子宮内膜症に対してノルエチステロン・エチニルエストラジオール配合錠を内服していた.起立直後に回転性めまいと嘔吐が出現し,当院へ救急搬送された.神経学的には左方視時の注視方向性眼振のみを認めた.頭部MRIでは左側頭葉,左小脳半球に散在する急性期脳梗塞を認め,頭頸部MRAでは主幹動脈に明らかな狭窄や閉塞は認めなかった.当科に入院し原因を検索したところ,経胸壁心エコーで肺高血圧症を疑う所見を,コントラスト経食道心エコーで卵円孔開存を介した右左シャントを認めた.深部静脈血栓は検出されなかった.当院循環器内科での精査により肺動脈性肺高血圧症と診断された.卵円孔開存症と肺動脈性肺高血圧症の合併により奇異性脳塞栓症を引き起こしたと考えられ,脳梗塞再発予防としてリバーロキサバンを開始した.卵円孔開存症を伴う奇異性脳塞栓症では,右左シャントの要因として肺高血圧症の合併も考慮する必要がある.

  • 三好 浩之, 渡邊 陽祐, 梶原 佳則, 武智 昭彦
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 332-336
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2020/12/28
    ジャーナル フリー

    要旨:血栓回収療法において,MCA 窓形成部閉塞は pitfall となりうる.MCA窓形成部閉塞例にADAPTで血栓回収を行い再開通した1例を経験した.症例は71歳男性,搬送時,左片麻痺,構音障害を認めた.MRIで右MCA領域にDWIでの高信号域を認め,MRAで右M1より末梢の描出不良を認めた.最終健常確認より370分で血栓回収を行った.M1に線状の造影欠損部を認め,窓形成部の閉塞と診断し ADAPTでの血栓回収を行った.One pass で TICI 3の再開通が得られ,術後左片麻痺は改善した.術後MRAでもM1に窓形成を認めた.抗血小板薬で治療を行い,術後12日目にmRS 1で退院した.M1に線状の造影欠損部を認めた場合には,窓形成を疑い,superior limb からの再開通を優先して進めるべきである.

  • 小祝 萌, 市川 剛, 鈴木 恭一, 渡部 洋一, 長井 健一郎, 菊田 春彦, 大和田 尊之
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 337-342
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2020/12/28
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】Percutaneous coronary intervention(PCI)周術期合併症の一つとして脳血管障害があることは知られているが,発生は稀である.今回我々は,PCI中に発症した中大脳動脈閉塞に対して機械的血栓回収術を行った症例を経験したので報告する.【症例】72歳男性.急性心筋梗塞の診断で近医より当院循環器内科に転送され,緊急PCIとなったが,PCI中に意識障害,全失語,右不全麻痺が出現し当科紹介となった.PCIを完遂した後,脳血管撮影を施行し,左中大脳動脈閉塞を認めた.機械的血栓回収術を施行し,発症から52分で再開通が得られた.術後,意識障害と麻痺は改善したが,高度な失語が残存し,第29病日に回復期病院へ転院した.【結語】PCI関連の脳塞栓症は稀な合併症であるが,重篤な転帰をとる場合が多い.迅速な対応が必要であり,循環器科と脳卒中関連科の連携が重要である.

  • 井中 康史, 森本 将史, 疋田 ちよ恵, 岩崎 充宏, 前田 昌宏, 山崎 英一, 福田 慎也, 長澤 潤平, 佐藤 浩明
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 343-347
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    要旨:【はじめに】脳梗塞急性期の治療で,rt-PA投与と血栓回収術は確立された治療だが,抗凝固薬内服中の患者に関しては十分な安全性が確立していない.今回,ダビガトラン内服中の急性期脳梗塞患者に対し,イダルシズマブ投与後にrt-PA投与と血栓回収術を行い,幸いにも良好な転帰を得た2例を経験したので報告する.【症例】(1)74歳男性.失語症状にて発症,左MCAの閉塞を認めた.Afでダビガトランを内服中.拮抗薬投与後にrt-PA静注,血栓回収術を施行した.術後CTで少量の出血性梗塞を認めたが増大なく経過.(2)89歳女性.左上下肢麻痺で発症.Afでダビガトラン内服中.左MCAの閉塞に対し拮抗薬投与した後,rt-PA静注,血栓回収術を行った.術後CTで出血なく経過した.【まとめ】ダビガトラン内服中患者の急性期脳梗塞に対して,拮抗薬投与後にrt-PA静注療法および血栓回収術を安全に施行することができた2例を報告した.

  • 髙原 正樹, 福田 健治, 神崎 貴充, 吉永 進太郎, 堀尾 欣伸, 岩朝 光利, 井上 亨
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 348-353
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/02/10
    ジャーナル フリー

    要旨:70歳男性.1年前に症候性左内頸動脈狭窄症に対して頸動脈内膜剝離術を施行されたが,再狭窄を認め,頸動脈ステント留置術を行う方針とした.クロピドグレル 75 mg内服中であり,バイアスピリン 100 mgを追加した.血小板凝集能検査でcollagenの凝集能抑制が不十分であり,術当日はバイアスピリンを 200 mgに増量しステントを留置した.5日目に右上肢の麻痺,失語が出現し,ステント内血栓を認め,stent-in-stenting を施行した.バイアスピリンをシロスタゾール 200 mgに変更し,アルガトロバン・ヘパリン投与を行ったが,再治療5日目に再度右上肢麻痺が出現した.ステント内血栓の再発を認め,プラスグレル 20 mgの内服を行った.10分後に血栓は消退傾向となり,2日後には血栓の消失を認めた.プラスグレル投与後の再発は認めていない.プラスグレルはステント内血栓の治療選択肢の一つになりうると考えられた.

  • 高井 洋樹, 松原 俊二, 木下 景太, 宮崎 裕子, 船橋 卯, 南 祐佳里, 平井 聡, 原 慶次郎, 八木 謙次, 宇野 昌明
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 354-359
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨:【目的】多数の破格を合併した internal carotid-infraoptic course of anterior cerebral artery(IC-IOA)分岐部動脈瘤症例を報告する.【症例】37歳女性.頭痛精査の頭部MRIで右内頸動脈瘤,脳血管撮影で両側IOAと,その血管と右内頸動脈分岐部に動脈瘤を認めた.他に plexiform of anterior communicating artery complex と bihemispheric anterior cerebral artery,外頸動脈からの眼動脈描出,左後頭動脈の内頸動脈分岐,両側椎骨動脈の非典型的走行を認めた.また,脳梁は軽度形成不全であった.脳動脈瘤に対しステント支援下コイル塞栓術を施行したが,本血管は温存され,合併症はなかった.【結語】本疾患は破格を合併することが多く,詳細な画像読影が必要と考えられた.

  • 福本 博順, 吉永 貴哉, 森下 登史, 福田 健治, 安部 洋, 佐藤 公則, 東 登志夫, 河野 義久, 井上 亨
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 360-364
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨:症例は41歳の女性で,10年前に左中大脳動脈閉塞症を発症し,その後も複数回にわたり右上下肢の脱力や構音障害を自覚していた.今回,再度左中大脳動脈閉塞症を発症し,血栓回収療法中に carotid web を発見した.その後,再発予防を目的に頸動脈ステント留置術を行った.特に若年における危険因子のない脳梗塞において,carotid web は鑑別すべき重要な疾患と考えられた.

  • 高野 裕樹, 阿部 圭市, 野村 誠, 米山 琢, 比嘉 隆, 川俣 貴一
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 43 巻 4 号 p. 365-369
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/25
    [早期公開] 公開日: 2021/04/06
    ジャーナル フリー

    要旨:階段状に症状増悪を認める progressive stroke は,一般的に予後が悪く,治療に難渋することが多い.内科的治療に抵抗性であり内頸動脈高度狭窄を認めた場合,急性期に carotid artery stenting(CAS)を行うことがあるが,過灌流による出血の危険性がある.慢性期の内頸動脈狭窄症に対するCASの際,過灌流予防目的に staged angioplasty という治療戦略が取られることがある.この構想に基づき,今回過灌流予防目的で急性期に staged angioplasty を施行した2例を経験した.症状増悪を認めたところで,まず percutaneous transluminal angioplasty(PTA)を施行し,24時間空けたのちCASを施行した.いずれの症例も過灌流は生じず,良好な転帰を辿ったため報告する.

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