脳卒中
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症例報告
経食道心エコー図検査にて特定の体位変換時にのみ卵円孔開存症を認めた ESUS の 1 例
木原 英雄内 孝文牧野 健治藤田 聡林 盛人原 英彦礒西 淳松嶋 茉莉紺野 晋吾神谷 知紀杉本 英樹藤岡 俊樹
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キーワード: patent foramen ovale, ESUS, TCD, TEE
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2022 年 44 巻 3 号 p. 300-305

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抄録

卵円孔開存症は健常者の 25%に存在する.Embolic stroke of undetermined source(ESUS)は全脳卒中の 20%を占める.卵円孔開存症は潜因性脳梗塞の 50%に併存すると報告されており,卵円孔開存症の診断は重要である.特に,2019 年に経皮的卵円孔閉鎖術が承認され,卵円孔開存症の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断の重要性はますます増している.当院では,経頭蓋ドプラ検査や経胸壁心エコー図検査による右左シャントの存在の確認を行った後に経食道心エコー図検査(TEE)を行っている.我々は,ベッドサイドにて右左シャントを証明した後に TEE を施行し,当初は卵円孔開存症が確認できなかったが,左側臥位で体位を変換した場合のみ卵円孔開存症が顕著になった 1 例を経験した.既存の報告は調べ得る限り存在せず,稀な病態と考えられるため,ESUS の評価および鑑別診断に際し重要と考え,報告する.

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© 2022 日本脳卒中学会
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