2022 年 44 巻 3 号 p. 295-299
症例は66歳男性.突然発症のめまいと嚥下・呂律困難を主訴に救急搬送された.収縮期血圧 264 mmHgと異常高値を認めた.頭部画像検査では,右椎骨動脈閉塞による右延髄の急性期脳梗塞に加え,両側の大脳皮質や視床に浮腫性変化が散在し,左円蓋部脳溝にくも膜下出血も認めたため,降圧療法を行った.入院翌日には全身痙攣も認めた.経時的に改善を認めた経過から,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)の合併と診断した.孤束核を含む延髄の梗塞により,圧受容体反射の障害や,副交感神経障害による交感神経作用の増大が生じたため,異常な血圧上昇を来しPRESに至ったと考えた.