2022 年 44 巻 5 号 p. 546-551
63歳男性,慢性ITPの経過観察中に意識障害を発症し,頭部MRI/Aにて急性期左内頚動脈閉塞と診断した.来院時血小板数1.9万/µlと低値で,rt-PA静注療法は禁忌であった.しかし,MRAでは前交通動脈を介した患側大脳半球の血流が維持されていたため,時間的猶予があると判断し,血小板輸血を先行した後に経皮的脳血栓回収術を実施し,TICI 3の再開通を得た.血栓の病理所見から脳塞栓症と判断し,二次予防は抗凝固療法を選択して17病日に独歩退院した.