2022 年 44 巻 5 号 p. 541-545
【目的】自然血栓化・閉塞する過程を造影CTで追跡し得た前交通動脈瘤の症例を報告する.【症例】71歳の女性.偶発的に発見された大型右前交通動脈瘤で当院を紹介受診した.底部に石灰化とblebを伴う長径20.7 mmの動脈瘤を認めたが,治療希望がなく,年1回の造影CTAで経過観察となった.3年後に動脈瘤の母血管(右A1)末梢部の狭窄進行を認めたが,動脈瘤に大きな変化はなかった.しかし,4年後には動脈瘤は完全に消失し,右A1の全体的な描出不良進行を認めた.この経過中は無症状で経過し,MRIでも脳梗塞は認めなかった.その後も再発なく経過した.【結論】母血管狭窄進行を伴って自然完全血栓化した,稀な大型前交通動脈瘤の症例を経験した.造影CTアンギオグラフィーやMRI/MRAによって,経時的かつ長期のフォローアップが有効であった.