2022 年 44 巻 6 号 p. 625-629
症例は57歳女性.特記すべき誘因なく,数時間で改善する激しい両側性頭痛が突発性に出現し,寛解増悪を繰り返したため,近医にて頭部CT, MRIを施行するも特記すべき異常なしと判断され,経過観察された.発症13日目に左頭頂後頭葉に約46 mlの皮質下出血を認めたため,当院へ紹介され,緊急開頭血腫除去術を施行した.術前頭部CTでは血腫周囲に低吸収域を認め,病理検査で血腫に接する脳組織の融解壊死を認めた.術後のMRAでは両側中大脳動脈,後大脳動脈に多発する狭窄所見を認め,後に改善したことより可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による出血性脳梗塞と診断した.RCVSの多くは予後良好だが,一部には本症例のような予後不良な経過をたどる症例があるため,原因不明の急性発症の重度の頭痛患者に対しては,常にRCVSの可能性を考慮して慎重に対応することが重要である.