2024 年 46 巻 2 号 p. 141-148
急性期主幹動脈閉塞に対して,Willis動脈輪を経由した血栓回収療法の症例報告が散見される.今回,慢性左頸部内頸動脈閉塞を罹患した急性期両側中大脳動脈閉塞に対して,右内頸動脈より前交通動脈経由で血栓回収療法を行い,有効な再開通を得た症例を経験したため,論文的考察を加え報告する.症例は83歳女性.慢性左頸部内頸動脈閉塞に以前より罹患しており,突然の意識障害・失語・四肢不全麻痺で当院へ搬送された.神経放射線画像診断で,両側中大脳動脈閉塞による急性期脳梗塞の診断に至り,発症より約5時間で血栓回収療法を行った.右頸部内頸動脈にガイディングカテーテルを留置し,前交通動脈を経由してステントリトリーバーを用いて血栓回収を行い,左中大脳動脈閉塞の有効な再開通を得た.引き続き,右中大脳動脈閉塞も血栓回収を行い,有効な再開通を得た(発症より6時間37分).術後は両側性に散在する梗塞巣を認めたため,転帰は不良であった.