2025 年 47 巻 2 号 p. 78-85
【背景および目的】大分県における脳卒中救急搬送の現状を把握し,問題点の解決方法を探る.【方法】大分県内の全14消防(局)本部に対してアンケート調査を行った.対象期間は2021年1月1日から2023年7月31日,調査項目は救急要請のあった脳卒中疑い症例の医療機関別交渉回数,医療機関別搬送経過時間,医療機関別搬送件数,疾患別搬送件数とした.【結果】脳卒中疑い症例の月平均搬送数は,2021年226件,2022年256件,2023年250件であった.約半数は虚血性脳卒中,約27%は出血性脳卒中,その他が約23%であった.経年的に全県下で多交渉回数割合と搬送所要時間は増加していた.過疎地域では,脳卒中の専門性にかかわらず近隣の医療機関を選択する割合が高かった.【結論】大分県では脳卒中疑い症例に対する受入れ照会回数と搬送までの所要時間が経年的に増加しており,機能予後への影響はさらなる調査が必要である.