抄録
スタチンが冠動脈や頸動脈のプラーク安定化をもたらすことは明らかではあるものの,ス
タチンが導入されていても心・脳血管イベントの発症リスクは残存している.EPA などのn-3 系不
飽和脂肪酸が冠動脈イベントを抑制することは報告されているが,頸動脈病変での有用性は不明で
ある.本研究では,スタチン治療を受けLDL-C が制御されている頸動脈狭窄患者のプラークの特徴
を解析したところ,EPA/AA‹0.4 と低く,MR プラーク診断で粥腫内出血が優位であった.また,
1,800 mg/日の45 日間(中央値)のEPA 製剤内服によりEPA/AA が上昇することで粥腫内出血が優位に
安定化した一方,我々が以前報告したように(脳卒中の外科41: 39–45, 2013),EPA とスタチン併用内
服では粥腫内出血と脂質豊富な粥腫の両者が安定化することから,EPA とスタチンでは頸動脈プ
ラークに対する安定化の機序が異なる可能性が示唆される.