論文ID: 10544
症例は67 歳女性.左手足の動かしにくさを自覚し,当科を初診した.軽度の左片麻痺があり,頭部MRI 拡散強調像で左前頭葉に高信号域を認め,脳梗塞と診断した.脳血管造影検査で右内頸動脈起始部に軽度(North American Symptomatic Carotid Enderterectomy Trial: NASCET 42%)の狭窄性病変を認めた.再発予防として抗血小板療法を開始したが,第81 病日に右中心前回に脳梗塞を再発した.頸部血管超音波検査では頸動脈狭窄部の狭窄度やプラーク形状に変化を認めなかったが,造影超音波検査を追加したところプラーク表面に潰瘍形成を認めた.同部位のプラークはMRI block blood(BB)法ではT1 強調像で高信号を呈していた.プラーク性状より再発リスクが高いと考えられたことから頸動脈内膜剝離術を行う方針とした.剝離されたプラーク表面に潰瘍を確認した.頸動脈造影超音波検査は頸動脈病変に対する治療方針決定に有用であることが示唆された.