論文ID: 10627
要旨:56 歳,女性.高血圧の指摘あり.突然の頭痛(後頸部痛)と左片麻痺を来し搬入された.頭 部 CT で右前頭葉円蓋部にくも膜下出血を認め,頭部 MRI にて右前大脳動脈領域の新鮮梗塞,およ び,右前大脳動脈末梢(A2)と左後大脳動脈末梢(P3)に分節状の狭窄所見を認めた.続けて脳血管撮 影を行ったが,明らかな出血源は同定されなかった.血液・髄液検査でも血管炎等を疑う所見は認 めなかった.カルシウム拮抗薬と抗血小板薬(シロスタゾール)による保存的加療にて,脳血管狭窄 は増悪と寛解を繰り返しながら改善し,脳梗塞やくも膜下出血は悪化なく,可逆性脳血管攣縮症候 群と診断した.発症 4 週目に左片麻痺は軽快し,独歩で自宅退院となった.突然の頭痛の発症早期 にくも膜下出血および脳梗塞を同時に認めた可逆性脳血管攣縮症候群の稀な 1 例と考えられた.