脳卒中
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心臓粘液腫による脳塞栓症に対して機械的血栓回収術が奏功した1例
追塩 雅人 柴橋 慶多宝田 秀憲杉山 和宏濱邉 祐一
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論文ID: 10931

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抄録

症例は28歳男性.突然の意識障害で発症して救急搬送された.来院時GCSはE1V1M2であった.頭部MRI/MRAで脳底動脈遠位部の途絶と両側小脳半球のDWI高信号域を認めた.心臓超音波検査で左房内に有茎性高輝度腫瘤を認めたため,心臓粘液腫に起因する脳塞栓症を疑った.急性期脳梗塞に対してIV-tPAは投与せずに,ステント型血栓回収デバイスを用いて血栓回収術を施行し,TICI3の再開通を得た.待機的に心臓腫瘍に対して腫瘍切除術を施行し,塞栓子と腫瘍の病理学的検査から,心臓粘液腫に起因する脳塞栓症と診断した.心臓粘液腫に起因する脳塞栓症は血栓もしくは腫瘍による塞栓で,機械的血栓回収術はいずれの場合にも回収が可能である.また,塞栓子の病理学的検査から,診断や再発予防において重要な情報を得ることができる.心臓粘液腫に起因する脳塞栓症に対して,機械的血栓回収術が有効かもしれない.

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