脳卒中
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初診時出血性病変が検出されず,髄軟膜病変と血管周囲腔拡大のみ呈したアミロイドβ関連血管炎の1例
市川 大 柳澤 俊晴大森 泰文鎌田 幸子
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11172

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抄録

症例は70歳女性.頭痛を主訴に当院を受診し,MRI T2, FLAIRで右側頭葉の髄軟膜病変と半卵円中心に多数の血管周囲腔拡大を認めた.半年後の経過観察MRIで皮質微小出血,皮質脳表ヘモジデリン沈着を認め,3年後には右下1/4同名半盲と意識障害を呈し,MRIで髄軟膜病変の拡大と出血性病変の増大を認めた.脳生検の結果,アミロイドβ関連血管炎と診断し,ステロイド治療を行うも,意識障害が残存した.本例では,血管炎による炎症が先行し,その後血管脆弱性から出血を来したことが推定された.発症初期に出血性病変を呈さず,髄軟膜病変と血管周囲腔拡大を認める症例では,炎症性脳アミロイド血管症を鑑別診断に挙げる必要がある.

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© 2023 日本脳卒中学会

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