論文ID: 11186
82歳,男性.家族歴はなく,脊柱管狭窄症の既往歴があった.自宅で倒れているのを発見され,救急搬送された.来院時の神経所見は意識JCS-II-30, 左側空間無視,右共同偏視,構音障害,左顔面を含めた左片麻痺あり,頭部MRIで右中大脳動脈後方枝領域に急性期脳梗塞,MRAで右中大脳動脈M2(後方枝)閉塞を認めた.入院翌日に心電図で心房細動あり,経胸壁心エコーで重度拡張能障害とapical sparingがあった.99mTcピロリン酸心筋シンチグラフィで心臓に核種の異常集積を認めたことから,amyloid transthyretin(ATTR)心アミロイドーシスに合併した心原性脳塞栓症と早期に診断した.これまで心原性脳塞栓症と診断されていた脳梗塞患者の中に,ATTR心アミロイドーシスが潜在する可能性があり,その存在を念頭に置いて精査することが重要である.