脳卒中
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侵襲的処置を伴わずに発症しT2*強調画像での特徴的な低信号が診断につながった脳空気塞栓症の1例
岩本 宗矩大塚 喜久 加藤 歩矢幡 悟大井村 隼岡村 有祐松本 賢亮
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11181

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抄録

88歳女性.心不全・尿路感染症で入院し,末梢静脈カテーテルから抗菌薬を投与されていた.入院12日目に突然の意識障害・右片麻痺を呈した.頭部MRIで左前大脳動脈(ACA)・中大脳動脈(MCA)の境界域に拡散制限域があり,T2*強調画像(T2*WI)で同領域の皮質,脳溝に多発低信号を認めた.T2*WIの低信号にほぼ一致してCTで空気像があり,脳空気塞栓症と診断した.翌日,意識障害・片麻痺は改善し,CTの空気像とT2*WIの低信号も消失した.脳空気塞栓症は末梢静脈カテーテルのみ留置下の報告もあり,ACA・MCAの境界域に好発する.空気はT2*WIで信号消失し,少数ながら,本例と同様にT2*WIで多発低信号を認めた脳空気塞栓症の報告もある.末梢静脈カテーテル留置のみで,高侵襲な処置を行っていなくても,T2*WIで大脳皮質や脳溝に沿う多発低信号を認めた場合は,脳空気塞栓症を考慮すべきである.

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© 2023 日本脳卒中学会

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