論文ID: 11197
50歳代女性.午睡後の左上肢感覚障害で受診.MRI, MRAで右M2領域の急性期脳梗塞と診断,t-PA, 血栓回収は適応外であり,保存的加療.翌日MRAで閉塞部位は再開通していた.経胸壁心エコー,体幹部CT, ホルター心電図で塞栓源や不整脈なし.頚部MRAで有意狭窄なく,頚動脈エコーは未施行.ホルモン,各種抗体検査で異常なし.塞栓性梗塞とてDOAC開始となり,軽度感覚障害あるも独歩自宅退院.3カ月後同部位に脳塞栓が再発し入院.頚動脈エコー,CTAより右内頚動脈にcarotid web(CW)が疑われ脳血管撮影を施行,同部位に造影剤の鬱滞が見られた.CWに起因する再発塞栓性梗塞と診断,DAPTとし後日頚動脈ステント留置術を施行.その後は再発なく経過している.CWに起因する脳梗塞は再発リスクが高いとされる.本症例は抗凝固療法中に再発を来しており,若年の脳塞栓ではCWを見逃さず,適切に治療することが重要と思われた.