脳卒中
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もやもや病による血行動態の変化が影響したと考えられる破裂前交通動脈瘤の1例
山田 健嗣 吉野 義一金岡 杏純木下 裕貴伊古田 雅史内山 拓杣 夏美大川 敦也草鹿 元
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11213

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抄録

症例は43歳男性.突然の頭痛にて発症し,CTにてくも膜下出血と診断した.脳血管撮影にて両側中大脳動脈はもやもや血管を伴い狭窄・閉塞しており,前交通動脈には5 mm大の動脈瘤を認め,出血源と判断した.前交通動脈瘤に対し緊急でコイル塞栓術を施行し,合併症なく経過,発症1カ月後にmRS 0にて自宅退院となった.もやもや病は両側内頚動脈終末部の狭窄がもやもや血管の新生を伴いながら進行するが,本症例は両側中大脳動脈に病変が限局し,前方循環の血流が前大脳動脈に集中したと予想される.後方視的に行ったCFD解析でも,中大脳動脈の閉塞に伴い,前交通動脈への血行力学的なストレスの増大が確認された.もやもや病の進行過程において部分的な血管閉塞を生じた際は,非閉塞血管へ血行力学的ストレスが局所的に増大し,脳動脈瘤の形成・破裂・再発に影響を与えるものと考えられ,治療にあたっては留意する必要がある.

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