脳卒中
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重複中大脳動脈の存在で診断に難渋した脳梗塞の1例
岩田 牧子 川口 正二郎田中 雄一郎
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: 11216

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抄録

症例は,運動後の雷鳴頭痛で当院を初診した56歳女性.頭部CTで9年前に他院で治療された陳旧性脳梗塞を認めた.鎮痛剤を処方したが,頭痛は改善せず6日後に再診.MRIで新規病変はなく,MRAでは左MCAの描出が不良であった.描出不良は陳旧性脳梗塞によると解釈した.頭痛は継続し,11日後に再検したMRIで新規脳梗塞があり,入院となった.脳血管撮影で重複中大脳動脈の存在と,MCA主幹の血管径の不整が判明した.以上より頭痛は,MCA主幹の解離により遅発性に脳梗塞を生じた可能性が考えられた.当初MRAでMCA主幹の描出が重複中大脳動脈より不良であったため,重複中大脳動脈を本来のMCAと誤認したことで診断が混乱した.非典型的な頭痛や脳梗塞例では,脳血管の破格も念頭に置くべきである.

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