論文ID: 11214
症例は43歳男性.突然の激しい頭痛の後,てんかん重積を起こし救急搬送された.CTで左シルビウス裂を中心にくも膜下出血および左頭頂葉に低吸収域を認めた.脳血管撮影上,出血源となる動脈瘤や血管奇形は認めなかったが,左頭頂葉に濃染像と,同部位に早期静脈描出を認めた.左頭頂葉病変は造影MRIでリング状の増強効果を呈し,これらの画像所見から悪性腫瘍が疑われたため,開頭腫瘍摘出術を施行した.病理診断にて悪性神経膠腫と診断され,術後化学放射線療法を施行した.稀ではあるが,くも膜下出血の原因として悪性神経膠腫の可能性があることを念頭に置くべきと考えられた.