脳卒中
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経静脈digital subtraction angiographyにて左横静脈洞の陰影欠損を認めたbenign intracranial hypertensionの1例
網谷 浩代子新名主 宏一伊地知 信二太良 光利新名 清成
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1988 年 10 巻 2 号 p. 186-189

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抄録

症例は31歳男性.後頭部鈍痛が数日間持続した後, 次第に頭痛が増強し, 軽度意識障害も出現したため当院受診した.初診時, 神経学的に特記すべき所見なく, 意識も正常化していた.腰椎穿刺にて初圧400mmH2O, 終圧170mmH2Oと頭蓋内圧亢進を呈し, 頭部CTでは軽度脳浮腫の所見を認めた.grycerol使用にて次第に頭痛は消失し, 脳脊髄圧も次第に正常化した.入院直後の経静脈digital subtraction angiography (以下DSA) にて左横静脈洞の陰影欠損を認めたが, 3ヵ月後には陰影欠損は消失し, 再開通の所見を認めた.他に頭蓋内圧亢進を示すような基礎疾患はなく, 本症例の頭蓋内圧亢進は左横静脈洞血栓がその原因となったことが強く推定された.横静脈洞血栓によるbenign intracranial hypertensionの報告は意外に少なく, また経静脈DSAは従来指摘されている利点に加え, 静脈洞病変の画像診断において非常に有用であると思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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