前頭蓋窩硬膜動静脈奇形の1例を報告する.症例は71歳男性で, 意識障害及び右不全片麻痺を主訴として入院した.CTでくも膜下出血に加え, 左前頭葉に脳内出血を認めた.脳血管撮影では, 両側anterior ethmoidal artery及びsuperficial temporal arteryをfeederとし, pial veinをdrainerとし, nidusが両側嗅窩部に存在する硬膜動静脈奇形が認められた.Spinal drainageを行ない待期したところ, 第40病日頃には意識状態, 右不全片麻痺は共に改善した.第29病日のCTで左前頭葉内に再出血が認められたため, 第92病日に動静脈奇形の摘出術を施行した。術後経過は良好で, なんら神経学的異常は認めず, 術後の脳血管撮影では動静脈奇形は消失していた.第122病日に独歩退院した.本症例につき, 文献例18例と併せて, その臨床経過, 神経放射線学的所見, 手術適応及び術式につき考察した.