脳卒中
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10 巻 , 5 号
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  • 横井 和麻呂, 野々村 一彦, 小嶋 純二郎, 神野 哲夫
    1988 年 10 巻 5 号 p. 393-399
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    稀な椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部より中枢側に動脈瘤を認めた多発性動脈瘤症例を報告すると共に, 同症例は天幕上動脈瘤に対するクリッピング術後, 特異な出血をおこしたのでここに出血の機序もあわせ考察し報告した.症例は, 43歳, 男性.歩行障害と尿失禁を主訴に意識清明にて来院, 諸検査にて右中大脳動脈三叉部, 前大脳動脈A2部, 左中大脳動脈M2-M3部及び右椎骨動脈に動脈瘤を認めた.くも膜下出血は左中大脳動脈M2-M3部動脈瘤破裂によるものでその他動脈瘤は未破裂であった.術後左中大脳動脈M2本幹より出血をきたし死亡した.剖検にて椎骨動脈に認めた動脈瘤は後下小脳動脈分岐部より中枢側にあり現在まで9例の報告をみるにすぎず稀である.さらに動脈瘤術後の血行動態の変化により動脈瘤近傍の血管より出血をきたした機序について若干の考察を加え合わせて報告した.
  • 川上 正人, 伊東 亨, 栃木 捷一郎
    1988 年 10 巻 5 号 p. 400-403
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR) を用いて両側総頚動脈3時間結紮後, 30分間の血行再開通を行い, 予めxanthine oxidase阻害作用を有するallopurinol, 400mg/kgを経口投与した群と対照群における脳組織内の過酸化脂質をmalonyldialdehyde (MDA) を指標として測定し, 比較検討した.結果はsham群, 対照群でそれぞれ68.90±3.46, 83.27±5.18 (nmol/gm) であったのに対し, allopurinol投与群では67.62±3.28 (nmol/gm) となり, 対照群に比べて有意に低値を示した (p<0.05).
    以上の結果よりallopurinolは脳虚血および血行再開通により惹起されるxanthine oxidase-linked free radicalによる脂質過酸化反応を抑制することが示唆された.
  • 山之内 博, 朝長 正徳, 吉村 正博, 豊倉 康夫
    1988 年 10 巻 5 号 p. 404-411
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    Progressive subcortical vascular encephalopathy (PSVE) の22例 (平均年齢81歳) の脳の動脈系を系統的に検索し, 同年代の脳梗塞例, 脳出血例と比較検討した.1) PSVEではACA, MCA, PCAの3枝狭窄型を示すものが多い (60%).2) 軟膜動脈あるいは大脳皮質内の白質枝本幹が50%以上の狭窄を示すものはPSVEの20~30%にみられたが, 脳梗塞や脳出血例ではこれらの動脈に高度狭窄を示したものはほとんどなかった.3) 白質内細動脈の硝子様変化とそれに伴う50%以上の狭窄例はPSVEの60%に, 脳出血の40%にみられた.4) PSVEの3/4の例では, 入院中, 時々収縮期血圧が120mmHg以下を示した.5) 以上の結果より, PSVEの血管系の原因として白質内細動脈のみならず脳底部動脈から白質枝本幹に至る比較的太い動脈の病変の関与が考えられる.また, こうした血管病変を背景に, 血圧低下が一部関与している可能性がある.
  • 佐藤 達朗, 川畑 信也, 長田 乾, 佐藤 雄一, 平田 温
    1988 年 10 巻 5 号 p. 412-417
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    低頻度刺激法 (毎秒10回刺激) 及び高頻度刺激法 (毎秒50回刺激) による聴性脳幹反応 (ABR) を脳底動脈閉塞症の1例で発症当日より経時的に施行した.症例は71歳, 女性。突然の意識障害で発症, 神経学的に意識障害, 水平方向眼球運動障害, ocular bobbing, 右ホルネル徴候, 左側末梢性顔面神経麻痺, 弛緩性四肢麻痺, 深部反射の減弱, 病的反射を認めた.脳血管撮影では左椎骨動脈の後下小脳動脈分岐後の閉塞, 脳底動脈の起始部での完全閉塞を認めた.聴性脳幹反応は第1, 第2病日にはいずれの刺激でも異常がみられなかったが, 第3病日には高頻度刺激で異常を認め, 第4病日には両刺激法で異常を認めた.以上の所見は高頻度刺激法の鋭敏性を示唆する.また本例で当初ABRで異常を認めなかったのは病変が橋底部に限局していたためと考えられた.脳幹部脳血管障害の脳幹機能の評価法として高頻度刺激法は極めて有用である.本法の臨床的意義につき考察を加え報告した.
  • 豊田 収, 中島 英雄, 曲沢 聡, 石内 勝吾
    1988 年 10 巻 5 号 p. 418-422
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    染色体異常疾患であるダウン症候群は先天性心疾患, 消化管奇形をはじめ種々の疾患の合併率が高い事が知られているが, 脳血管障害の合併は稀である.モヤモヤ病との合併例は今まで報告されたのは6例にすぎず全例幼児期に脳梗塞型で発症している.本症例は15歳で脳梗塞で発症し, 症状が進行性であったが, EDAS (Encephalo-duro-arteriosynangiosis) 術を施行し, 症状の改善をみた.両疾患の合併が偶発性か否かは難しいが, モヤモヤ病において染色体検査を始めとして遺伝学上からも考慮が必要と思われる.
  • 藤田 勝三, 山下 晴央, 玉木 紀彦, 松本 悟
    1988 年 10 巻 5 号 p. 423-430
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    初回発作から2週間以内に再破裂をきたした脳動脈瘤症例46例について, 臨床上の重症度, CT, 脳血管写所見について検討し, さらに, 手術時期, 脳血管攣縮の頻度及び予後との相関について検討を加え以下の結論を得た.
    (1) 脳動脈瘤再破裂例は, 脳内又は脳室内出血を合併する重症くも膜下出血を示し, symptomatic vasospasm及び水頭症を合併する頻度が高く予後不良例が多い.
    (2) 再破裂迄の期間では, 24時間以内と8日から2週間以内に再破裂例が多く, 再破裂時には, 臨床上の重症度はgradeIII及びIVの症例が多い.
    (3) 初回発作後24時間以内に再破裂をきたした症例では急性期手術群にも比較的予後良好例が多いが, 初回発作後4日から14日以内に再破裂をきたした症例では, たとえ軽症くも膜下出血例でも脳血管攣縮の頻度が高いので, 晩期手術を行うべきである.
  • 紀田 康雄, 澤田 徹, 栗山 良紘, 成冨 博章, 山口 武典
    1988 年 10 巻 5 号 p. 431-435
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者を血管写所見に基づいて頭蓋外での頚動脈病変の有無により2群に分け, 脂質代謝異常との関係を検討した.頭蓋外頚動脈病変を認めぬ群ではcholesterol (以下CHO), triglyceride (以下TG), HDL-cholesterol (以下HDL-C) は, 非脳梗塞例の対照群と比べ有意差はなかったがアポ蛋白には異常を認め, ApoBの有意な上昇 (p<0.01) とApoA1の有意な低下 (p<0.01) を認め, アポ蛋白測定が重要と考えられた.一方, 頭蓋外頚動脈病変を有する群では対照群と比較するとCHO, TG, ApoBの有意な上昇 (共にp<0.01) とHDL-C, ApoA1の有意な低下 (各々p<0.001, p<0.01) を認め, アポ蛋白を含めた脂質代謝異常との関係が示唆された.CHOとHDL-Cの相対的な比率から求めたatherogenic indexは頭蓋外血管病変の有無に関係なく梗塞群では有意な上昇を認め, 脳梗塞の危険因子の指標として, CHOやHDL-Cよりも重要と考えられた.
    頭蓋外頚動脈病変の有無により, 脂質代謝異常の量的及び質的な差が存在する可能性が示唆された.
  • 数井 誠司, 澤田 徹, 成冨 博章, 栗山 良紘, 山口 武典
    1988 年 10 巻 5 号 p. 436-440
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性期脳梗塞症例1,586例のうち, 病巣がCT上, 前大脳動脈 (ACA) 領域に認められた症例の臨床的検討を行なった.ACA領域を含む脳梗塞例は74例で脳梗塞全体の4.7%と少なく, その89%が非限局例で, 限局例は少なかった.限局群では脳血栓症が非限局群では脳塞栓症が多かった.脳血管写上, 限局群では頭蓋内動脈硬化像を基礎としたA2-A3部の閉塞性所見が多く, 非限局群では内頚動脈 (ICA) あるいはACAと中大脳動脈 (MCA) の両動脈の閉塞性所見が多く認められた.これは前者では脳血栓症が, 後者では脳塞栓症が多いことを反映しているものと考えられた.ACA領域を含む脳塞栓症例では病巣と反対側A1部低形成や反対側ICA閉塞が有意に多く認められ, これらがACA領域の脳塞栓症の発現基盤として重要な位置をしめることが示唆された.限局群の予後は極めて良好であったが, 非限局群では脳死例も相当数あり不良であった.
  • 佐藤 敬, 今泉 忠淳, 平元 周, 高松 滋, 東海林 文一郎
    1988 年 10 巻 5 号 p. 441-445
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    血管障害におけるplatelet-activating factor (PAF) の意義に注目し, 脳梗塞患者の血小板PAF凝集能を測定するとともに, 血漿のPAF代謝酵素PAF acetylhydrolaseとの関係を検討した.慢性期脳梗塞患者32例 (平均年齢66±9.3歳) と健康対照73例 (63±7.3歳) を対象とした.40ng/mlPAFによって不可逆的血小板凝集を認めた例は患者20例, 対照8例で, 患者においてはは不可逆的凝集を示す例の割合が大きかった (X2=27.6, p<0.001).患者と対照の血漿PAF acetylhydrolase活性はそれぞれ107±47.9, 78±34.2nmol/ml/minで有意差がみられた (p<0.05).患者のうち, 不可逆的PAF凝集を呈した20例のPAF acetylhydrolase活性は120±49.7nmol/ml/minで, 可逆的凝集を呈した12例の値84±35.9nmol/ml/minに比べて有意に高かった (p<0.05).以上から, 慢性期脳梗塞患者の血小板PAF凝集能は亢進し, 血漿PAF acetylhydrolase活性は高いことが明らかになり, 脳梗塞患者における血小板機能の亢進にPAFとその代謝系が密接に関連していることが知られた.
  • 青木 秀夫, 阿美古 征生, 山下 哲男, 松永 登喜雄
    1988 年 10 巻 5 号 p. 446-452
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    われわれは山口県下の脳神経外科医の協力により, 昭和60年 (1985) から脳動脈瘤患者の登録と集計を行なっている. 本症の診断は脳血管撮影, 手術, 剖検等によって確認した.昭和60年に山口県在住者で本症のため入院加療を受けた症例は228例で, 人口10万人当りの発生率は14.3であった.年齢は14歳~81歳男性82例, 女性146例で男女比は1 : 1.6で女性が多かった.この女性優位性は従来の報告を併せ考えると西中国, 九州地区に特異的とも考えられるが, 今後更に検討を要する.今回の集計は脱落例は極めて少ないと思われるが脳血管撮影が施行できなかった重症例は含まれていないので, 今後このような例にも注目して行きたい.また脳神経外科施設近傍の発生率 (16.6) と, 遠隔部の発生率 (12.6) には差があり, 遠隔部へのより積極的な働きかけが必要と思われる.
  • 藤田 学, 松尾 嘉彦, 榊 三郎
    1988 年 10 巻 5 号 p. 453-459
    発行日: 1988/10/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    前頭蓋窩硬膜動静脈奇形の1例を報告する.症例は71歳男性で, 意識障害及び右不全片麻痺を主訴として入院した.CTでくも膜下出血に加え, 左前頭葉に脳内出血を認めた.脳血管撮影では, 両側anterior ethmoidal artery及びsuperficial temporal arteryをfeederとし, pial veinをdrainerとし, nidusが両側嗅窩部に存在する硬膜動静脈奇形が認められた.Spinal drainageを行ない待期したところ, 第40病日頃には意識状態, 右不全片麻痺は共に改善した.第29病日のCTで左前頭葉内に再出血が認められたため, 第92病日に動静脈奇形の摘出術を施行した。術後経過は良好で, なんら神経学的異常は認めず, 術後の脳血管撮影では動静脈奇形は消失していた.第122病日に独歩退院した.本症例につき, 文献例18例と併せて, その臨床経過, 神経放射線学的所見, 手術適応及び術式につき考察した.
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