血管障害におけるplatelet-activating factor (PAF) の意義に注目し, 脳梗塞患者の血小板PAF凝集能を測定するとともに, 血漿のPAF代謝酵素PAF acetylhydrolaseとの関係を検討した.慢性期脳梗塞患者32例 (平均年齢66±9.3歳) と健康対照73例 (63±7.3歳) を対象とした.40ng/m
lPAFによって不可逆的血小板凝集を認めた例は患者20例, 対照8例で, 患者においてはは不可逆的凝集を示す例の割合が大きかった (
X2=27.6, p<0.001).患者と対照の血漿PAF acetylhydrolase活性はそれぞれ107±47.9, 78±34.2nmol/m
l/minで有意差がみられた (p<0.05).患者のうち, 不可逆的PAF凝集を呈した20例のPAF acetylhydrolase活性は120±49.7nmol/m
l/minで, 可逆的凝集を呈した12例の値84±35.9nmol/m
l/minに比べて有意に高かった (p<0.05).以上から, 慢性期脳梗塞患者の血小板PAF凝集能は亢進し, 血漿PAF acetylhydrolase活性は高いことが明らかになり, 脳梗塞患者における血小板機能の亢進にPAFとその代謝系が密接に関連していることが知られた.
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