脳卒中
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前下小脳動脈末梢部動脈瘤の一治験例
久門 良明榊 三郎茶木 隆寛
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1990 年 12 巻 1 号 p. 68-73

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抄録

前下小脳動脈末梢部動脈瘤は現在までに20数例報告されているに過ぎず稀である.また本動脈瘤はその多くが小脳橋角部に存在し内耳孔に進入するため, 術前ないしは術後に第7・8脳神経障害を示すことが多い.
今回我々は, 術前に小脳橋角部症状を示さず, くも膜下出血発症翌日に施行した直接穿刺法による両側逆行性上腕動脈撮影では描出できなかったため, 診断に苦慮したが, 15日後のセルジンガー法による椎骨動脈撮影で初めて診断し得た前下小脳動脈末梢部動脈瘤の1例を経験し, 術後第7・8脳神経障害を残さず治癒せしめ得たので報告する.
本動脈瘤で小脳橋角部症状を示さなかった理由は, 内耳孔への進入がなく第7・8脳神経への圧迫が軽度であったことと, くも膜下出血が少量であったことによると考えられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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