脳卒中
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脳底動脈塞栓症における臨床像の検討
3自験例を中心として
蒲沢 秀洋伊藤 栄一池田 隆奥田 聡石川 作和夫
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1990 年 12 巻 4 号 p. 316-325

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抄録

脳底動脈塞栓症の臨床像を明らかにする目的で自験3例を中心に文献的考察を加えて報告した.発症率は全脳梗塞患者631例の0.48%, 全脳塞栓症患者113例の2.7%に相当し, 比較的少なかった.自験3例はいずれも前駆症状を伴わない突然の昏睡で発症し, 対光反射と角膜反射の異常, 眼球運動障害, 四肢麻痺, 除脳硬直および自律神経症候などと神経症候は多彩であった.各症例は発症後53日, 80日および25日と比較的短期間に合併症で死亡し, 予後は極めて不良であった.脳底動脈塞栓症はこの様に, 脳梗塞の中で最も重篤で多彩な神経症候を呈するため, 確定診断が困難な場合が多く, 臨床的特徴を明らかにすることは極めて重要と思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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