脳卒中
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原発性小脳出血の臨床的検討
宇野 昌明松本 圭蔵
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1991 年 13 巻 3 号 p. 165-174

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抄録

原発性小脳出血246例を重症度分類し, 各治療法別にこれらの臨床所見, CT所見, 転帰を検討し, 各治療法の適応と限界について検討した.意識が清明か傾眠で, 血腫径が3cm未満の症例 (benign type) は保存療法でgoodが84.7%を占め, 保存療法で充分対応できた.意識が清明か傾眠で, 血腫径が3cm未満で水頭症を伴っている症例 (moderate type) は脳室ドレナージのみでgoodが90.9%と良好であった.しかしmoderate typeでも血腫径が3cm以上の症例は血腫除去が必要であった.意識が昏迷から半昏睡の症例 (severe type) は血腫除去をしない限り転帰は不良であった.さらに, 意識が発症直後から昏睡に陥る症例 (fulminant type) はいかなる治療にも抵抗し転帰不良であった.また意識障害以外で予後を不良にする因子として, (1) 血腫量が30ml以上の症例, (2) 血腫が半球から虫部に伸展する例, 虫部を中心に出血する例, (3) 70歳以上の症例, (4) 既往に脳卒中のある症例があげられた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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