長期喫煙の脳血流の経年変化に及ぼす影響について検討した.対象は地域健診対象者の正常男性26名で, 喫煙群13名 (平均年齢68.3歳), 非喫煙群13名 (平均年齢69.9歳) である.各群において,
133Xe吸入法で測定した脳血流量と呼吸機能PeCO
2, 血圧, ヘマトクリット, 血清脂質などを比較検討した.脳血流量は, 喫煙群では60.1m
l/100g/minから6年間で51.6m
l/100g/minと有意の減少を示した (p<0.05).非喫煙群では62.5m
l/100g/minから59.4m
l/100g/minへと減少したが, 有意ではなかった.6年目の比較では, 喫煙群の方が非喫煙群に比して, 減少の傾向にあった (0.05<p<0.1).高血圧の既往歴は両群間に有意差を認めなかったが, 6年後の平均血圧は喫煙群では非喫煙群よりも有意に高かった.PeCO
2, 呼吸機能, ヘマトクリット, 血清脂質に関しては, 両群間に有意差を認めなかった.長期の喫煙は, 脳血流減少の促進因子の一つになりうることが示唆された.
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